エコビレッジのつくりかたでは、コミュニティとは、「価値観(大切なこと)や世界観(作りたいビジョン)をゆるやかに共有している人々が集まった場」と定義しています。
人と場があれば、コミュニティは成立します。
一方で、組織やチームの定義は「目的と目標を達成するために集まった二人以上の集まり」としています。
一般的な組織やチームとコミュニティの違いは、「ゆるやかさ」です。
通常の組織にはルールや規約があり、それらを守ることが定められているため、個人の尊重や自由度よりも、組織としての統率や目的の達成が重要視されることが多々あります。
極端な言い方をすれば、「組織のために人がいて、人よりもルールが優先」という状態になりやすいのが今の組織です。
一方で、コミュニティには強制力が少なく、個人の尊重や自由度が大切にされます。
そのため、居心地の良さや世界観は表現できますが、組織としての統率が取れず、単なる集まりやサークル活動の延長戦になることも少なくありません。
今日は、コミュニティに必要な3つの要素についてお話していきましょう。
1.人と場所と資金<物理面>
コミュニティをつくりたいと思ったら、まずは自分以外の人を巻き込み、ゆるやかなつながりを作り出すことから始めます。
コミュニティ=関わっている人と言っても過言ではないくらい、コミュニティには人間模様が映し出されます。
多くの場合、発起人のリーダーを中心にコミュニティが立ち上がり、そこにNo.2やNo.3が加わることで、コミュニティらしさが出てきますが、少数の場合はリーダーの世界観=コミュニティとなりがちなので、初期段階で人数を多くしておくこと(30人前後まで)をおすすめします。
そうすると、リーダー中心のコミュニティではなく、価値観や世界観中心のコミュニティになります。
次に重要なのが、場所です。
自分たちのホームと思える場所を設定し、ミーティングや食事をするのもここ、という場所が定まると、求心力が生まれ、集まる人の数も増えていきます。
最初は、行きつけのお店や公園などでも構いませんが、本格的にコミュニティつくりをしていくときは、固定費をかけてでも場所をつくることが重要です。
ここに来るだけで安心する、ホーム感がある、いつでも気軽に来れるというコミュニティの空気感を感じることができる場所を持つことができれば、自然と人の行き来・循環が生まれるコミュニティになります。
場所がないと、人づてでの啓蒙活動中心になり、怪しさや宗教臭さが出てしまう場合があるので、場所も早めに持つようにしましょう。
そのために必要なのが、資金です。
資金は、コミュニティにおける血液のようなものなので、血液の循環がなければ、そのコミュニティは酸欠に陥ります。
コミュニティに関わる一人一人が、専門性と関係性を磨き、自分の生業を持つことで、社会に対して、自分たちのビジョンを表現できる、怪しくないコミュニティを発信することができます。
資金がなければ、理想を実現することが難しい場面もあるので、まずは個人が経済的に自立すること、その後、コミュニティとしての生産活動も確立し、コミュニティとしての資金源も確保していくことで、安定的にコミュニティをつくることができます。
2.価値観(横軸)と世界観(縦軸)<精神面>
コミュニティには、価値観(なにを大切にするのか)と世界観(つくりたい未来・ビジョン)が必要です。
価値観と世界観を持っていないコミュニティは、単なる烏合の衆になりやすく、何かトラブルが起きるとすぐに人間関係にトラブルが起き、人が離れていきます。
価値観は、横のエネルギーであり、女性的な繋がりを象徴します。
人が安心して関わることができる、自分の居場所を感じることができる、ここにいてもいいんだという承認欲求を満たすことができるものです。
通常の組織が、ルールや規約で統率をとるのに対して、コミュニティは価値観という繋がりで調和をとります。
大切にしたいものが似ている人たち同士は、関わっていても心地がよく、お互いのことを尊重・信頼しながらゆるやかに関わることができます。
一方で、世界観は、縦のエネルギーであり、男性的な方向性を象徴します。
何のためにコミュニティがあるのか、コミュニティはなにを目指し、どこに向かっているのかを問い、成長や進化・変化を感じることができるものです。
今の居心地の良さだけでなく、未来を思い描くことで、やりたいことだけでなく、今やるべきこと、未来に大切なものを残すための主体性が求められます。
この縦軸と横軸が調和・融合することによって、コミュニティは安定しながらも、成長・発展を続けていくことができます。
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