「エコビレッジを作ってみたい!」と思っても、
実際にどんな手順で進めたらいいのか、ほとんどの人は分からないと思います。
そもそも、エコビレッジを作っている人が少ないのと
その人たちも模索しながら作っていることがほとんどのため
情報として体系化されていません。
本サイトでは、エコビレッジ関係者にインタビューをしながら
ゼロからエコビレッジをつくるためのステップを8段階でまとめてみました。
ただし、このステップはあくまでも一つのモデルであり、絶対に正しいわけではありませんので、それぞれの状況やケースに当てはめながら、コミュニティつくりに取り組んでください。
目次
エコビレッジをゼロからつくる8つのステップ
【立ち上げ段階】
1.コンセプトを決める
2.土地を決める
3.コアメンバーを決める
【企画段階】
4.グランドデザインをつくる
5.つながりをつくる
【実働段階】
6.実際につくりはじめる
7.経済を安定させる
8.リデザインを続ける
【立ち上げ段階】
エコビレッジの発足は、一人のリーダーが発起人となるケースがほとんどです。
リーダーが今の社会に違和感や限界を感じ、自分の理想やビジョンを実現するために、エコビレッジという選択肢を思いつきます。
そこで、情報を集め出したり、コンセプトを考える中で、
・土地が見つかる
・コアメンバーが見つかる
のどちらかが実現すれば、一気にエコビレッジは現実に近づきます。
2と3は、運と縁次第で順番が前後しますが
コンセプトがしっかりしていないと、2も3も実現しづらいので
まずは、1のステップからみていきましょう。
1.コンセプトを決める
まずは、どんなコミュニティをつくりたいのかを明確にしましょう。
発起人(リーダー)は、頭の中で漠然と思い描いているイメージを自問自答したり、仲間に話すことで具体的にしていきます。
ここで大事なのが、必ず資料(企画書)にまとめることです。
リーダーには当たり前にイメージできることも、周りの人にはイメージできないことがほとんどです。
資料にまとめていくことで、お互いのイメージをすり合わせながら、具体的な計画も立てることができ、エコビレッジつくりに主体的に関わってくれる人も増やすことができます。
コンセプトを決めるには、時間を長くかけるよりも、二泊三日程度の合宿を行い、ワークショップ形式で理想のエコビレッジのイメージを明確にするのがオススメです。
初期段階ではリーダー中心のビジョンでも構いませんが、仲間がいる場合はリーダーに依存せずに全員で考え、それぞれが自分事として語ることができるかが鍵になります。
いつまでに、どんなエコビレッジを、なんのために、つくりたいのかというゴールも設定、
誰が、どんな役割と責任のもと、どのように進めていくのかなどを、できる限り明確にしましょう。
ご希望があれば、村つくりのための1DAYワークショップを開催することもできますので、お問い合わせください。
2.土地を決める
エコビレッジつくりで最も難しいのは、土地との出会いです。
通常の賃貸不動産のように、「こんな条件でお願いします」と言えば出てくるわけではなく、自分たちの足で地道に探していきながら、周囲の人たちの紹介を頼りにすることがほとんどです。
また、仮に理想の土地と出会えたとしても、オーナーの理解を得ることができなければ借りることができなかったり、購入したくても資金がなければ諦めざるを得ない、という状況に陥ります。
チャンスを掴むためにも、事前にコンセプトや計画を資料にまとめ続けていきましょう。
土地のイメージは、人それぞれですが、末長く反映するエコビレッジにするために抑えておきたいというポイントをまとめましたので、一つずつ見ていきましょう。
【必須条件】
1.水が潤沢にあること
村を作るときも、実際に住むときも、最重要なのは水です。
電気はなくても生きていけますが、水がないと人は生きていけません。
通常、日本は8m前後を掘れば水が出てくるので、井戸を作れば水源は確保できますが、水質なども事前に調べておく必要があります。(井戸から水を引き上げるためのポンプはこちら)
2.天候がよいこと
雨が降りやすい地域でエコビレッジつくりを始めると、後々苦労します。
できれば晴天が続くエリアで、台風や地震、水害など天災の心配が少ない土地を選びましょう。
その土地の歴史や神社がある場所などを調べると、最適な場所を探すことができます。
3.景色がいいこと
「またここに来たい」と思える土地には、普段は味わうことができない景色があります。
都会では絶対に見れない、ここにしかない景色は、想像以上に人の心をつかみ、何度でもその土地に呼び直してくれます。
もし景色に恵まれなかった場合、ここでしか味わえない見所(神社、岩倉、温泉etc)や体験があるとエコビレッジを発展しやすくなります。
4.南向きの傾斜(農耕地)があること
自給自足を目指して、農業も行うのであれば、南向きの傾斜(農耕地)があるかどうかも重要なポイントになります。
また、その土地の土がどのような質なのか(土地の肥沃さ、水はけ、砂利etc)、竹林をはじめとした自然素材が自生しているか、どのような木々が多いのかも後から気づくと苦労することになりますので、事前にチェックしておきましょう。
畑だけでなく、田んぼも必要になりますが、田んぼをやらない場合は、近所に米農家や麦農家さんとの繋がりをつくることで、ワラや籾殻(もみがら)を獲得することで、ストローベイルハウスなどを建設することができます。
5.居住スペースがあること
ゼロから山林を切り開くのは、あまりオススメしません。
熊本県にあるサイハテは、元々放棄された別荘地を買い取ったため、住居や生活インフラがある程度整っていたことも、継続できた要素の一つです。
ネット回線の速さ、郵便物の配送料なども、その後の事業展開に関わってきますので、 可能な限り、生活インフラがすでに整っている土地で始めましょう。
6.主要都市部(空港や新幹線)まで2時間前後で行けること
いくらその土地に魅力があったとしても、外部からの人が来づらい場所であれば、コミュニティは停滞してしまいます。
コミュニティにとって、人の移動は血液循環のようなものです。
内部の人間だけだと血液は古くなってしまうので、新しい流れを定期的に外から取り入れる必要があります。
そのためにも、主要都市部や移動拠点から車で2時間前後で行き来できる距離を選択しましょう。
上記はあくまでも一例ですので、自分の理想とする条件を書き出してみましょう。
また、土地の情報があれば実際に現地に足を運ぶことで、イメージをより明確にすることができますので、無駄だと思わずに土地との縁を探し続けましょう。
3.コアメンバーを決める
コミュニティは、関わる人の質と数によってその価値が決まります。
どれだけ土地や仕組みに価値があったとしても、人に魅力がなかったり、人間的に成熟していなければ、コミュニティは発展していきません。
コミュニティに関わる人には、大きく4つのタイプがあります。
⑴ コアメンバー(移住組) : 外から移住してきた。仕事や人脈なし
⑵ コアメンバー(地元組) : 元々その土地に住んでいた。仕事や人脈あり
⑶ 地元の世話人 : 地元の人で色々面倒を見てくれる人
⑷ その他 : ⑴〜⑶以外。メンバーの友達、観光客など
立ち上げ時に鍵になるのは、実際に住みながらエコビレッジをつくっていくメンバーです。
ここで注意したいのは、実際に住むとしても、移住メンバーと地元メンバーではスタート地点が違うということです。
良い悪いはありませんが、ビレッジの立ち上げ時には、移住メンバーの本気度合いが試されます。
移住メンバーは、多くの場合、仕事や収入がなく、地元のつながりもないので、ビレッジつくり以外にやることがありません。
この何もないけど、やる気だけはある初期段階で、どれだけエコビレッジのインフラや文化という土台を作ることができるかが大切になります。
また、どんなに話し合いを重ね、信頼関係を築いてきたとしても、多くの場合3〜6ヶ月前後で、メンバーの離脱問題がおきます。
リーダーはメンバーの離脱を最初から心得ておきながら、関わり方が変わったとしても、その後も良好な人間関係で関わり続けることができるように、またメンバーが向けてもプロジェクトは進み続けることができるように、準備しておきましょう。
また、地域のキーパーソン(面倒を見てくれる有力者)の存在も欠かせませんので、地域活動や声がけをしてもらったときには、積極的に顔を出すようにしましょう。
4.グランドデザインをつくる
人、自然、未来を調和させるには、デザインが必要です。
なんとなくの思いつきで動くのではなく、コミュニティの完成図を思い描いて動かないと、いつまでたっても理想の村は完成しません。
いつまでに、どんなコミュニティをつくるのか。
土地の広さから考えて、何年後に、どんな完成をするのか。
そこまでには、どのくらいの時間、費用、労力、専門性が必要なのかを計算し、スケジュールに落とし込みます。
明確な収支計算は出せないとしても、大枠だけでも計算しておかないと、常に資金繰りに悩まされることになるので注意が必要です。
また、ヒューマンスケール(全員が顔見知りとなれる規模)も考えて、土地だけでなく、人やチームのデザインも含みます。
特に、組織デザインができていないと、人の入れ替えが激しくなり、頑張っても積み上がらないコミュニティになってしまいますので、コミュニティマネージャーの役割は非常に重要になります。
あくまで一例ですが、フェーズごとに必要な人材を下記に残しておきますね。
【フェーズ1(立ち上げに必要な人材)】
リーダー(発起人)、マネージャー、広報担当、大工、料理人
【フェーズ2(安定・拡大に欲しい人材)】
音楽家、裁縫屋、パーマカルチャーデザイナー、ビジネスマン、外部パートナー(専門家)、ワークショップデザイナー
【フェーズ3(社会化に必要な人材)】
投資家、政治家、行政、経営者
また、コミュニティを作るときに、ぜひ作りたいのが「合言葉(キャッチコピー)」、「お祭り(ハレの日のイベント)」、「ランドマークとなる建物」「オリジナルグッズ(おしゃれな作業着やユニフォーム)」などです。
エコビレッジの世界観を表現したデザインを世界に発信していきましょう。
5.つながりをつくる
コミュニティが発展・安定していくためには、コミュニティ内外の循環が必要になります。
閉ざされたコミュニティ、情報発信をしないコミュニティは賛同者を得ることができず、自分たちの持っている力以上の成果を生み出すことができません。
コミュニティの力は、繋がっている人の質と量で決まります。
コミュニティのコンセプトやビジョンを、定期的に情報発信をしていく仕組みをつくりましょう。
その際、万人ウケする情報発信ではなく、エッジが効いた独特な情報発信ができるようになると、コミュニティに興味を持ってくれる人数が一気に増えます。
また成功事例よりも、失敗事例や困っているという情報の方が一気に拡散されますので、トラブルさえも効果的に活用していくか方法を考えていきましょう。
6.実際につくりはじめる
ここまでくれば、実際のエコビレッジつくりに着手できます。
最初はほとんどの人が素人だと思いますが、専門家や経験者の力を借りて、徐々に目に見える形になっていくのを楽しんでいきましょう。
その際、ワークショップや合宿型の企画などをつくると、人手を得ながら活動資金も確保でき、賛同者も増やすことができるので、楽しくて・面白くて・美味しい企画を打ち出しましょう。
人を呼べるコミュニティになるには、このコミュニティならではの文化や生産物など、なんらかの価値が必要になります。
コミュニティの強みを積み重ね、住民の絆を深め、外にも開けたコミュニティとして活動報告を続けていくことで、コミュニティの認知度も広がり、安定した運営の土台になります。
7.経済を安定させる
自給自足をしたとしても、日本円がまったく必要ないという状況は難しいのが現実です。
通信費、交通費、交際費、税金などは、どうしてもかかってくるので、社会に向けて価値を提供する生産活動も行なっていきます。
自分たちの特産品を開発したり、ネットショップ、クラフトマーケット(手づくり市)、リサイクルショップ、ゲストハウス、飲食店など様々な手段が考えられます。
前提として、一人一人が自分独自の生業を持っていること、その上でコミュニティとしての生業(生産活動)を確立することが大切です。
経済的な理由が払拭されれば、エコビレッジに住みたい、中長期で滞在してみたいという人は格段に増えます。
お金のことともきちんと向き合いながら、理想のコミュニティをつくりましょう。
8.リデザインを続ける
コミュニティ内外の人間関係が広がりと深まりを持ち、経済活動も発展し続けて、社会に対しての認知度や理解が広がっていけば、一旦の完成形になったと言えます。
ここで止まることなく、常に最新再生、革新を続けていくことで、新しい時代のモデルケースとなることができます。
自分たちの理想郷を作って満足するのではなく、社会に対してビジョンや価値を提示できるエコビレッジを目指していきましょう。
記事はここまでになります。
いかがでしたか?
みなさんの「エコビレッジのつくりかた」もぜひ聞かせてくださいね。
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